第100回「東京を味わおう」

東京都港区立白金小学校 栄養教諭・島﨑聡子

この春、畑がある地域から、都心の学校へ異動しました。これまで勤務した学校の校舎からは富士山を眺めることができましたが、現任校の校舎から見えるのは高層のビルやマンション。校庭はコンクリート舗装なので、子供たちは日常生活で土を踏む、ということはまずありません。野菜や植物などの栽培もプランターを使用しての活動になります。東京の「広さ」を改めて感じています。

「できたらいいな」を補助金で実現

港区では、食育推進事業として学校給食で食育推進献立を実施するための公費補助があります。食育推進献立とは、児童・生徒が学校給食で様々な食を体験し、食文化の継承とともに豊かな心と体を育むための献立で、各学期に1~2回、「和食」「地産地消」「地方郷土料理」等をテーマに各校で取り組まれています。一食分の給食費に補助金をプラスできることから、日頃給食では高くてなかなか使えない食材、貴重な調味料を使用でき、いつもとは少し違う贅沢な献立をつくることができます。「できたらいいな」が実現できる、子供たちにとってはもちろん、献立立案側にとってもありがたい取り組みです。貴重な予算をいかに有効活用するか、という悩みも、ある意味贅沢なことかもしれません。

「東京産はこんなにある!」を献立に

6月、第1回の食育推進事業献立として本校では「都産都消」献立を実施しました。当日の献立は、『牛乳(日の出町)、ご飯(八王子市)、メダイ(八丈島)の照り焼き、かぶときゅうり(八王子市)の甘酢漬け、東京豚汁(東京エックスや東京産野菜)、ヨーグルトゼリーブルーベリーソース』。すべて東京尽くしで!とはいきませんでしたが、削り節や醤油などの調味料もできる限り東京産にこだわり、「東京産はこんなにある!」を献立に盛り込みました。

食の教材としての手応え

当日の給食時間、東京都の地図や、田畑、海の写真を持って教室を回りました。低学年の教室では、広大な畑の写真を見て「北海道だと思った」と驚きの声。6年生の教室では、5年生の社会科で学習した「国内生産量の0.3%」の希少な「東京米」のご飯に感慨深げな様子も見られました。他にも、子供たちからは「牛乳が甘い」「お米はいつもと違って粘りが少ないような気がする」「東京産が何個あるか考えながら食べました」「東京にも自然が多いことを知りました」等の様々な感想が聞かれました。

たくさんある「東京の味わい」

大都会のイメージが強い東京ですが、海の恵み!田畑の恵み!島の恵み!牧場の恵み!そして江戸から受け継がれる食文化!東京だからこそ味わえる「東京の味わい」がたくさんあります。都会で生活する子供たちにとっては、東京産と言ってもピンとこないかもしれません。だからこそ、給食を通して東京を知り、東京を味わい、ふるさと東京への郷土愛を養う。大げさかもしれませんが、これも学校給食の役割だと考えています。ささやかではありますが、これからも継続して取り組んでいきたいと思います。

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