第95回「災害時を想定した給食体験を通じて児童生徒に伝えたいこと」

岡山県矢掛町学校給食共同調理場 栄養教諭・森分千穂

栄養教諭として思うこと

日本は大丈夫だろうか?また、世界は大丈夫だろうか?心が痛い、どうしようもなく切ない。そんな思いをせざるを得ない、今日この頃の自然災害状況です。そんな報道を見るたびに、私は思います。『被災をした児童生徒たちは大丈夫だろうか?しっかり食べることができているだろうか?』と。
私の住む『晴れの国岡山』は、災害がほとんどなく平穏です。しかし災害の少ない岡山県に生まれてよかったと思うだけでよいのでしょうか。平穏無事な生活ができているからこそ、被災した同じ世代の人たちの気持ちに寄り添う必要があるのだと思います。そして、万が一、岡山県で災害がおきたとしても、生きていくためにはきちんと食べなければなりません。そのためにも、食育の観点から『災害について考え、給食を通して体験する場』を計画する必要があるのではないかと強く感じています。

災害時を想定した給食体験を実施するに至った経緯

現在勤務している岡山県小田郡矢掛町は、昭和51年に台風17号による水害を受けています。現在の児童生徒の祖父母世代が経験をしています。そんな過去があるからこそ、祖父母世代の方々との共通の話題にもなり、防災の大切さを実感できるのではないかと考えました。

食に関する指導を深めるために

災害時を想定した給食を提供するだけでは、大切さが伝わらない。この思いを伝えるために、まず給食主任をはじめ担任の先生方と協力することが必要であると考えました。そして、被災地の栄養教諭の先生方にも多大な協力をいただき、指導資料の作成にあたりました。また生きた教材として、全国の学校栄養士が知恵を出し合い、熱意をこめてつくった非常食『救給カレー』を使用しました。それらの結果、栄養教諭である私は、災害時の食の重要性、思い、願いを児童生徒に伝えることができました。

児童生徒の感想

・体験をとおし、被災地の人のことを思うことができた。
・家の人と防災について話し合った。
・日頃の給食に、もっと感謝しなくてはいけないと思った。
・災害はおきてほしくないけど、おきたときのことを頭に描くことができよい体験となった。
・アレルギーにも対応していて、栄養のバランスが考えられているので安心です。

先生方の感想

・非常に貴重な体験となりました。被災地に思いをはせることができた。
・防災の意識を高めることへの役にたてればと思う。
・防災のことを考えることは大切なのでよいきっかけとなった。

おわりに

この体験をとおして、防災の大切さにふれる中、家庭や地域で災害について考えること、また全国各地の被災地の方に寄り添う気持ちが育つことを実感しています。今後もこのような生きた教材となる給食をとおして継続的に防災について考える取り組みを行っていきたいと思います。


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