栄養士コラム

第81回「思い出に残る給食をめざして」

白鳥友美子

千葉県東金市立東金中学校 栄養教諭

白鳥友美子

「今日の給食なに?これはどんな味?」――廊下の盛り付けサンプルを覗きながら生徒が話しかけてきます。「○○だよ」と答えると「やった〜これ好き!」、「あ〜苦手」などと様々な反応が返ってきます。「今日はおいしそう」と言ってもらえる日もあれば、「今日はちょっと…」と言われてしまう日もあって、毎日が品評会のようです。

献立の好き嫌いが残食に反映

これらの会話の中で感じることは、多くの生徒にとって、洋食や中華の献立は「おいしそう」、「好き」と感じ、和食は「苦手な食材や料理が多い」ので「あまり好ましくない」と感じているということです。それは、残食に顕著に表れていて、和え物や煮物、魚の日は残量が非常に多くなります。
本校に赴任して3年目になりますが、食材の切り方や組み合わせを替え、調理方法や味つけを替え、見た目や彩りにこだわるなど、いろいろ工夫をしているつもりです。しかし思うようには食べてくれません。「少し食べてごらん」、「一口でいいから」の声かけもなかなか届かず、頭を悩ますことの多い日々です。

給食嫌いを克服できた中学時代

私は中学1年生の頃、給食が苦手でした。好き嫌いが激しく、食べる量も少なくて食べる時間も遅かったからです。しかし残すことは許されなかったため、無理をして食べているうちに少しずつ食べられるようになり、3年生では「給食大好き」で給食委員にもなりました。もともと料理が好きだったことに加え、「嫌いなものを無理やり食べるのではなく、おいしく食べられるようにできたらいいのに」と思ったことも、学校栄養職員の仕事に就くきっかけの一つだったと思います。

給食だからこその食体験を

多くの生徒が中学校卒業と同時に学校給食も卒業です。年間183回の3年間。決して回数は多くありませんが、いろいろな食材や料理・味を知って欲しいし、給食でしか味わえないものを味わい、給食でしかできない経験をたくさん重ねて欲しいと思っています。
大人になった時に給食を思い出し、「あれ、おいしかった。また食べたい」とか、「嫌いだった。苦手だった」と思うことは多いと思います。しかし思い出して終わりではなく、「自分で作ってみよう。真似してみよう」と思ってもらえるような給食にしたいと考えています。そのメニューが洋食や中華・デザートだけでなく、魚や煮物などの和食メニューも多くなることを期待して、これからもおいしい給食を提供していきたいと思います。