栄養士コラム

第89回「オーダー給食で選択する力を養う」

和才妙

福岡県吉富町外一市中学校組合立吉富中学校 栄養教諭

和才妙

生徒は「好き」「おいしい」といった好みだけで食べるものを選びがちです。給食時間にも「これは好きだからたくさんください」「これは嫌いだから減らして」「魚は嫌いだから、給食に出さないで」などという声も聞かれます。
そのような時は「苦手な食べ物があったとしても、嫌いだから食べないというのではなく、嫌いだけど食べることができるということが大事だよ」「なんでも食べることができれば、いろんな料理を楽しむことができるよ。嫌いなものも少しずつ食べることができるようになろう」と答えています。

メニュー内容にも工夫

本校では、自分の健康づくりを考えて食べることができるようにするため、取組の1つとしてオーダー給食を実施しています。これは、食べ物の栄養や特徴から、2つのメニューのどちらか1つを選ぶ給食です。 メニューを選ぶ際には「自分の成長に必要な栄養素が含まれているから」「自分の体調を整えるためによいから」「あまり食べないものを食べることで、食の幅を広げたいから」等を理由に選択できるように働きかけています。
魚よりも肉を好みがちな生徒に魚のよさも理解できるようにするため、オーダー給食のメニューは「さんまかぼすレモン煮」か「照り焼きチキン」、「サーモンフライ」か「鶏ささみカツ」、「いわしの梅煮」か「鮭の塩焼き」等、毎回魚料理を取り上げるようにしています。

生徒自身に考えさせる

上記の取組は、生徒会の給食委員会の活動に位置づけ、給食委員が資料を用いながら、オーダー給食の趣旨やそれぞれのメニューの特徴、栄養等を説明し、生徒自らが自分の健康や体づくりを考えてメニューを選ぶように呼びかけています。毎学期1回の実施ではありますが、中学校3年間で9回経験できます。
繰り返し繰り返し、自分の健康づくりを考えて食べるものを選ぶ。そして、選んだものを食べながらその食べ物の栄養や特徴を振り返る。さらにオーダー給食の経験を日々の給食時間や家庭での食事にも生かしていくというように、オーダー給食の経験を重ねていくことで、健康を考えた食事が選択できる力を育てられるよう取り組んでいます。

成果は残食減少に反映

本校に勤務して3年目になりますが、毎年、残食量が減少しており、とてもうれしく思っています。これは、生徒のためにおいしくて安全な給食づくりをする調理員さん方、毎日の給食指導をはじめとして熱心に指導している先生方等、学校全体で取り組んでいる成果だと思います。そして、栄養教諭として学校の食育をコーディネートしていくことの大切さを日々実感しているところです。