栄養士コラム

第97回「健やかな心と体を育てる学校給食をめざして」

宜保律子

沖縄県南城市学校給食センター 栄養教諭

宜保律子

学校給食を通して感じることがあります。それは、昔に比べて子どもたちの「食べる」ことに対する興味関心が薄れてきているのではないかということです。給食予定献立表が配布されると、楽しみにしている給食に印をつけたり、朝しっかりと確認してくる子もいますが、子どもたちが喜びそうな料理やデザートが給食にでても中には「食べなくてもいい」「あまりお腹がすいていない」と答える子がいます。

食事の役割とは

中学1年生の家庭科の授業で、食事の役割について班で話し合い発表させたところ、「栄養になる」「体をつくる」「エネルギーをつくる」などの体への影響に関する答えはどの班からもあがりました。しかし「楽しみとなる」「ふれあいの場となる」という心への影響を示す答えが少なかったことに驚きました。教科担任は「栄養的なことがしっかりわかっているのは、小学校での食育の成果ですね」とおっしゃってくれましたが、私は、学校給食をとおして、食べることの楽しみやみんなで食べることの大切さが、十分に伝えられていなかったのではと考えさせられました。

魅力ある学校給食を

食に関する興味関心を高めるためには、まず1つ目に美味しくて魅力ある学校給食を提供することです。そのためには地場産物を多く活用したり、行事食や郷土料理等を計画的に実施し、生きた教材となる献立を作成することだと考えます。

担任等との連携

2つ目に食に関する指導の目標を達成するために、教育活動全体で行う食に関する指導です。学級担任や教科担任等と連携し、計画的に食に関する指導を行うことで教科等での指導と学校給食を結びつけ、多様な効果を上げることができると考えます。

家庭・地域との連携

3つ目に親子料理教室や食育講話等を実施し、家庭・地域へ啓発していくことです。ライフスタイルが多様化し、共に食卓を囲むことが難しい家庭も多くなってきていますが、心と体への影響を伝えていく必要性を感じています。

食べる意欲が挑戦する意欲に

食べる意欲は、勉強やスポーツ、自分の夢に向かって挑戦する意欲につながります。栄養教諭として、学校給食をとおし、子どもたちが一生懸命がんばることができる心と体を作るために、食育の充実に努めていきたいと思います。