「食育は子どもの健康と未来を担います」

2018年春から、神奈川県川崎市の全市立中学校で、学校給食にタニタ監修の健康メニューが提供される。同社の学校給食への関わりとしては、新潟県・長岡市に続く2例目。それぞれの自治体の学校栄養職員と検討を重ね、メニューづくりに取り組んだのは、タニタで社員食堂を担当する管理栄養士・荻野菜々子さん。「自治体のニーズをお聞きしながら、タニタ食堂らしさをどこまで生かせるかを心がけた」と語ります。そして学校給食を、地域全体の健康づくりの切っ掛けとして位置づけます。

荻野 菜々子さんの顔写真荻野 菜々子(おぎの ななこ)
株式会社タニタ総務部、管理栄養士。1982年東京都生まれ。女子栄養大学短期大学部卒業後、保育園での勤務、外食産業を経て、2005年にタニタ入社。社員食堂担当の管理栄養士として、食事から社員の健康管理をサポートしている。監修を務めた「体脂肪計タニタの社員食堂」(大和書房刊)はシリーズ累計542万部を超えるベストセラーになっている。また、タニタ食堂の調理担当者を育成するプログラム「タニタシェフ育成コース」の講師も担当している。

Q:川崎市ではいよいよ来年から、タニタが監修した給食メニューの提供が始まります。

川崎市とタニタが給食を契機として、幅広い市民の健康増進について連携・協力することに合意したのは今年の1月でしたが、そのための話し合いは2015年から進めていました。当初、川崎市とは市民全体の健康づくりについて協議を行っていましたが、ちょうど市内の全中学校での給食実施に向けた準備を進めていた時期で、給食から取り組むこととなりました。その後、市と検討を重ねる中で、学校給食での食べる場面だけでなく、そこから運動や休養、からだづくりなど生活全体まで取り組みを広げていくこととなりました。
中学校の給食メニューと関連して、教職員への食育の情報提供をはじめ、生徒や保護者向けセミナー、体組成や活動量の計測などを含めた健康プログラムの提供を行い、その後、取り組みを市民に広げていく予定です。まずは全市立中学校52校に年間4回、季節ごとのタニタ監修の給食メニューが提供される予定です。

Q:タニタ考案の給食メニューらしい特徴は。

学校給食にはエネルギー量や各種栄養素の分量などの摂取基準や衛生管理基準、食材費などの決まりがあります。それを踏まえたうえで「タニタ食堂」の特徴をどこまで取り入れることができるかを工夫しました。タニタ食堂では満足感を高めるため、野菜を豊富に使い、食材を大きめにカットしてかみ応えを出すようにしています。今回の給食でも「食感」に注目したメニューづくりをしました。
また、市からは、「季節感があり、子どもが食べやすく残食が少ない献立を」という要望を受けていました。要望に最大限お応えできるよう、市の栄養職員の皆さんとは何度も意見交換をして、メニューを修正しました。
試行錯誤の末、来年度5月は「タラのから揚げ野菜あんかけ給食」(789kcal、塩分2.2g)、7月は「夏野菜と豚肉のオイスターソース炒め給食」(792kcal、3.0g)、10月は「とり肉の甘辛焼き給食」(891kcal、2.3g)、1月には「とり肉のきのこソースかけ給食」(799kcal、2.9g)が提供される予定です。

Q:工夫や重視したのはどの様な点でしたか。

川崎市の学校給食は、センター方式のため一度の調理食数が多く、学校までの配送に時間がかかります。そのため、大きさや火入れの調整が難しく、柔らかくなりやすいことを踏まえてレシピを考えました。またタニタ食堂のメニューは成人向けにカロリーや塩分を控えて考案したものです。これを単純に中学生向けに置き換えるのではなく、摂取基準値を守りながら、子どもにいかにおいしく食べてもらえるかを考え、食材や味付けを中心に工夫をしました。
日ごろ子どもたちと接している市の栄養職員の方々からの意見は、メニューを考える上でとても参考になりました。民間の私達と市とでは立場は異なりますが、「子どものために、健康的で、おいしくよろこんで食べてもらえるメニューをつくりたい」という思いは同じで、協力してよいものができたと思います。

Q:長岡での事業はどのようでしたか。

長岡市では、2015年秋に市内小中学校全87校の学校給食でタニタ監修のメニューを1回提供していただきました。学校給食の監修は初めてでしたので、長岡市の栄養職員の方々とは、1カ月以上にわたって、何度もやり取りをして協議し、メニューを仕上げました。また、各校の栄養教諭の方向けの実習で調理のポイントを覚えてもらうとともに、調理工数などの確認も行いました。それを基に、さらにレシピの修正を重ねています。摂取量のバランスや費用などは1週間、1カ月というトータルで調整していただくなど、市の職員の方にはさまざまな協力をしていただけました。
また、給食で「かむ」ことの重要性を、実食を通して体験してもらうのと並行して、食育だよりを制作し、全児童・生徒に配布して、食とからだづくりについて学んでもらいました。長岡市では、成人を対象とした「多世代健康まちづくり事業」を先行して進めていましたが、市内の全小中学校で取り組むことで、家庭・地域での食育への関心を高め、市とタニタが連携した健康プログラムや管理拠点の活用にも貢献できたと思います。

Q:学校給食が地域の健康づくりの切っ掛けになるのですね。

長岡市では中学校で、監修メニューの提供日にメニューと関連して食物とからだについての食育授業をしました。川崎でも市と連携して、食育に関連する教材開発から行っていきます。学校での給食や食育は、家庭でも話題にされやすいと思います。子どもの食育をきっかけに、保護者、地域の大人へと健康意識を広げていく“市民の健康づくり”が最終目標です。
食育は子どもたちの未来、人生に影響します。タニタが学校給食を通して、子どもたちの健康づくりを担うことができれば幸いです。健康なからだは子どもたちの将来に欠かすことができないものですので、そのために社外の関係者との連携も深めながら、貢献していきたいと思います。

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