栄養士コラム

第109回「栄養教諭・学校栄養職員の取り組みを見える形で」

長島美保子

公益社団法人全国学校栄養士協議会会長

長島美保子

栄養教諭制度がスタートして、早くも15年目を迎えています。 学校においては、栄養教諭、学校栄養職員は、次代を担う子供たちへの食育に献身的に取り組んでいます。その職務内容は、給食管理、食に関する指導、学校・家庭・地域をつないだ食育・個別相談指導等多岐にわたっています。

学校における食育の位置づけ

栄養教諭が中核となって担う、学校における食育は近年、「学校給食法」「食育基本法」にも位置付けられ、「学習指導要領」においてはその総則に明記され、給食の時間や関連教科等における食育の内容の記述が充実してまいりました。 栄養教諭の配置が十分ではない現状ではありますが、私たちは、一定水準の食育が全国のすべての子供たちに行われるよう取り組みながら、栄養教諭の配置拡大を願っていきます。

根拠に基づいた食育の推進

栄養教諭が学校にいることで、「教職員の食育への意識が高まり、子供たちへ食の大切さが伝わっている」「栄養教諭は食物アレルギー対応のキーマンとして、子供たちや保護者から信頼されており、教職員も安心できる」等等、栄養教諭に信頼を寄せていただいている声をよく聞きます。一方で、栄養教諭はどんな仕事をしているのか職務内容が明確に見えてこない等の意見もあります。 今後は、ひたすら頑張る栄養教諭から、エビデンスに基づいた提言や取り組みを行うことができる栄養教諭へ、力をつけていくことが必要となってきています。

取り組みをまとめ、分析し発表する力の育成

学校における児童生徒の食生活の実態や、学校給食をめぐる諸課題に対して、研究としてまとめ、学会等に発表できる栄養教諭等が増えてきました。本協議会でも「食育推進講習会キャリアコース」を開設し、データー解析及び研究発表ができる栄養教諭等を養成しています。 今後、栄養教諭の職務をより明確にしていくためにも、積極的に自己研鑽を図っていく姿勢が求められます。