栄養士コラム

第138回「大規模給食センターでの食に関する指導の取り組み」

荻上裕子

長野県松本市波田学校給食センター 栄養教諭

荻上裕子

給食センターに勤務する栄養教諭にとって、配送校との物理的な距離は、食に関する指導を進める上で何よりの障害になっているのではないでしょうか。私が以前勤めていたのは8800食3コース献立の大規模給食センターでした。依頼があれば授業を行いますが、学校の計画に沿って実施するのみで、行った授業は栄養教諭一人あたり年間2回程度でした。

小4への朝食指導を開始

児童生徒の実態を考察する中で、「朝食を食べない日がある」と答えた児童生徒が微増していることと、県の平均より多いことがつかめました。県内の同規模の給食センターを持つ市では、センター用の「食に関する指導の全体計画」が整備され、計画的に朝食指導がされており、本市よりよい結果でした。
そこで、本センターでも全体計画を整備し、小学4年生への朝食指導の授業を行うことを計画しました。

児童が自ら見直す機会

はじめに所属校の校長先生に相談しました。朝食指導の必要性を説明したところ、4学年の学年主任に話を通してくださいました。その後、学年会で説明を行い、12月に4学年4クラスで授業を実施しました。
授業後、校長先生にご指導いただき、学習カードや授業の流れの見直しをしました。児童は、授業の中で栄養バランスの良い朝食献立を考えたことを通して、自分自身の朝食内容を振り返り、バランスよく食べるために自分が出来ることと、家族にお願いすることを具体的に考えることができました。

今後は中1までを計画

この授業の全配送校での実施は、2月の給食主任が集まる会で承認され、現在全11校で実施されています。前年度中に年間暦に入れるように依頼してあるため、コロナ禍であっても授業が実施できています。これにより、授業の実施回数は栄養教諭1人あたり年間10回に増加しました。今後中学校1年生での指導を全校で行えるよう計画中です。
児童生徒が等しく食に関する指導が受けられるよう、センターの栄養教諭が学校で授業ができるようなシステムを構築することが、今栄養教諭として働いている我々の使命であると感じています。10年後、新たな未来が開けていることを願って、日々努力しています。