栄養士コラム

第142回「コロナ禍に思う、学校給食の重要性と栄養教諭・学校栄養職員の役割」

長島美保子

公益社団法人全国学校栄養士協議会会長

長島美保子

地球規模で新型コロナウイルス感染症に見舞われるという、かつて経験したことのない事態に、私たちは今なお置かれています。 2年前、政府の要請で、全国一斉の学校休業措置が取られ、約3か月の長期にわたる学校給食休止の中で、成長真っただ中の子ども達にとって、学校給食がいかに大切なものであるか、その果たす役割の重要性とそれを担う栄養教諭・学校栄養職員の使命について、改めて深く考える機会となりました。

長期休業中の給食のない期間、子ども達に心配したこと

学校給食のない日には、子ども達の成長を支える多くの栄養素が不足するというエビデンスに基づいた「学校給食摂取基準」を踏まえて、日々の給食が行われているところです。
しかしこの度、在宅で過ごす給食のない期間が長期に及んだことから、多くの子ども達の不規則で偏った食事・間食の食べすぎ・運動不足・生活リズムの乱れなどから起こる健康面・メンタル面での課題が推察されました。

全国の栄養教諭・学校栄養職員の取り組み

日頃の食育の取り組みをつなぐために、全国の栄養教諭・学校栄養職員が、この期間中、様々な取り組みをしてきたことを、当協議会は情報収集してきました。
児童クラブ等の学校で預かる子ども達や、一部登校の子ども達に対して、簡易給食など柔軟な形での給食提供、ホームページに掲載した食育だより、動画配信による簡単な料理の発信、家庭で作れるように給食献立をアレンジしての発信等を通して、子ども達や家庭への支援を試みてきました。

栄養教諭・学校栄養職員だからできる活動を

私たちは、学校休業期間中の取り組みの事例に学び、場面に応じて柔軟に対応できる力を身に付けることが必要だと考えます。「まず、子ども達のために」ここからブレなければ、周囲を説得することができます。子ども達の食と健康に対して、日頃からしっかり向き合っている栄養教諭・学校栄養職員だからこそできる取り組みを、信念をもって行うことが求められます。
ウィズコロナにおける学校給食は、「黙食」等で楽しい給食の時間が一変しました。しかし、子ども達は、しっかり給食に向き合いながら食べることができます。いかなる状況下でも、「食は大切」。このことを身に付けさせ、実践できる子どもの育成をめざし、日々頑張っていきましょう。