食育キーパーソン

大切な〝生活リズム〟を食育講座や検定で楽しく伝える

健康な食事と身体からは、バナナのようなモリモリの〝うんち〟がスルッと出ます…こんな話から始まる食育講座はエプロンシアターと体操で子供たちが大盛り上がりの時間。食事をはじめ正しい生活リズムを身に付けることが、心と身体の健康に大切であることを伝えている。さらに平成26年度から始めた「健康管理能力検定」を通して、「若者ほど健康と体内リズムのメカニズムを学んでもらいたい」と願いを語ります。

安村禮子(スズキ ミユキ)

安村禮子(ヤスムラ レイコ)

特定非営利活動法人日本成人病予防協会専務理事、健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級、管理薬剤師。健康管理士一般指導員の指導・育成に携わると共に、多くの団体や企業が主催する健康講習会の講師として幅広く活躍している。食育活動では、子供だけでなく保護者や教職員を対象とした講演及び人材育成に力を入れている。

 

Q:食育講座〝バナナうんち〟が子供たちに人気だそうですね。

「バナナうんちで元気な子!~生活リズムを整えよう~」は文部科学大臣賞を受賞した食育活動です。子供たちは〝うんち〟と聞くと「きたない」とか「くさい」とか、最初は恥ずかしがっています。でも食べたら出すというリズムが、健康な体に大切なんだ、健康なうんちはどのように作られるのかという話をしていくと、興味深く真剣に聞いてくれます。
オリジナルのテキストを配布して、その内容に沿った話と、実際の消化吸収のプロセスを模型などを使って見せるエプロンシアター、リズムに乗って身体を動かすことで腸を刺激する「ウンコでサンバ」をみんなで踊ります。そして最後に、一人ひとりが朝昼夜は何を食べて、どのような生活リズムで、その時どんなうんちだったか、チェックシートの「うんちクリニック」に1週間を振り返って記入します。
都内の小学校を中心に依頼を受けて年間100校ほど。決まった学年で毎年実施して欲しいと希望してくる学校も多くあります。

Q:食育講座の目的は何でしたか。

平成22年のスタートですが、食べた物で身体が作られている事、食べ物を意識しましょうと子供たちに伝えたかったのがきっかけです。食べることと同じくらい出すことも大切ですから、栄養の吸収と排泄のリズムの代表するのが、子供たちにも目で見て理解しやすい〝うんち〟なのです。
講座は45~50分間で、当協会の指導員資格者で構成する食育チームから2人組で訪問。体育の授業時間や土曜講座などに組み込まれることが多く、時にはPTA主体で保護者の方も一緒に勉強してくれることもあります。

Q:どのような反応でしょうか。

教材やシアターの小道具も「ウンコでサンバ」も、食育チームの自前。ですから毎回、実施後には反省会を行いながら、次はもっと分かりやすく、もっと楽しくと改良し続けています。お蔭でとても好評です。

子供たちからは「『うんちクリニック』をやると毎日うんちをするのが習慣になりました」、「毎日うんちを観察して僕はいつもモリモリバナナだと分かった。今の生活を続けるよう頑張りたい」などの感想。また先生からは「食べ物の大切さについての意識付けやその後の行動につながるのではないか」、「排便について保護者も教師も教えにくいのでありがたい」といった意見が寄せられています。

Q:「健康管理能力検定」を始めたのはどのような経緯でしょうか。

生活習慣病予防のためには病気になる前から、正しい食事や生活習慣を身に付けることが大切で、その普及を担うことが当協会の役割の一つ。医療の専門家だけでなく一般の社会人、家庭人がそういった知識を持つことも欠かせないということから、健康管理士一般指導員の資格を創設し、この30年間で約6万5000人の資格取得者が誕生しています。
その成果を踏まえ、より早くからより多くの人に自分自身の身体と健康のメカニズムについて学んでもらえる検定が必要だと考え、平成26年に開始したのが「健康管理能力検定」です。食事、運動、睡眠と健康について〝体内リズム〟の知識を基本に学べる内容であることから、文部科学省の後援も頂いています。

Q:なぜ健康管理の検定が必要なのでしょうか。

現在は小学生にも生活習慣病発症が報告されています。文部科学省後援「健康管理能力検定」2級・3級は高校生や大学・短大生位から受検してもらうことで、より早期から生活習慣病の予防に役立ちます。基礎編の3級(生活リズムアドバイザー)、応用編である2級(健康リズムカウンセラー)、プロレベルの1級「健康管理士一般指導員」という、難易度別に段階分けした構成になっています。高校生から大学生という最も生活リズムが乱れがちな年代の人たちほど、検定の受検を通して、栄養と健康と体内リズムについての基礎を学び知識を身に付けてもらいたいと思います。
私たちは学校で様々な学びと知識を得てきましたが。健康であるための体系的な教育をほとんど受けていないと言えます。次の世代に命をつなぐことが私たちの役割の一つとすると、間違った生活習慣を正していくことで心の健康もつないでいきたいと思います。

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