食育キーパーソン

幼児給食のナンバーワンを目指せ

幼稚園、保育所等で幼児給食の提供に励む栄養士・調理員等を対象にした、レシピと調理の全国コンテスト「給食の鉄人2021」が来年1月、東京で決勝大会が開催される。幼児給食で初めてのコンテストで、幼児教育や給食関係者から関心が寄せられている。主催する「給食の鉄人」実行委員会委員長・貞松成氏は「日本一を目指して」参加して欲しいと呼びかけている。

貞松成(サダマツ ジョウ)

貞松成(サダマツ ジョウ)

(株)glogal bridge HOLDINGS代表取締役社長兼CEO
1981年長崎県生まれ。学生時代に少子高齢化という人口問題を知り、高齢者による保育が理想的であると考え、2007年に株式会社global bridgeを設立し、千葉県に保育所を開園。2017東証に上場。

丸山寛典(マルヤマ ヒロノリ)

丸山寛典(マルヤマ ヒロノリ)

1970年長野県生まれ。信州の自然に囲まれ、郷土食や伝統食に触れつつ育つ。2006年株式会社ミールケア入社。「日本の美しい食文化を未来に伝える」をミッションに掲げ、給食や食育事業を通し、人づくり、食育給食づくり、ファンづくりを柱にミールケアの「食」をサステナビリティの入口とするべく注力している。

Q:「給食の鉄人」はどのような経緯で企画されたのですか。

貞松:私が経営する(株)glogal bridge HOLDINGS(以下当社)は全国約80か所の保育施設を運営しており、社内の栄養士や調理員を対象にしたコンテストを2020年に開催しました。そこには思いがけずたくさんのアイデア・創意に満ちたレシピが寄せられ、大きな成果が得られました。
当社全体で毎日約5000食の給食を提供していますが、提携する給食会社の献立からの作成です。各園が独自のカラーを出せる機会は行事食にあるだけです。しかし集まった優れたレシピのいくつかは、給食会社に提案できるほど高いレベルです。
この成果は当社内だけのものとするより、より広く全国の幼稚園や保育園などに呼びかけて参加を集うことで、幼児給食全体のレベルアップにつながるのではないかと考えたことに協賛のご協力も得られ、今回の開催が実現したものです。

Q:2020年社内コンテストの審査の感想はいかがでしたか。

丸山:参加作品は大量調理が可能で、費用や調理時間の制限を設け、使用食材は保育所の給食として適切なものであることといった要件を、いずれも満たしたレシピでした。優秀だった作品はあまり派手さがなく、見方によっては地味に思えるもですが、「見た目」「味」「作りやすさ」などの審査基準のどれから見てもポイントが高く、トータル的にバランス良く優れていたと評価できます。

Q:社内コンテストの発案はどのようなところからでしょうか?

貞松:当社の栄養士・調理員の方々に、日々の仕事を通して、より意欲的に自己を高める仕組みを提供できないだろうかと考えたのがきっかけです。栄養士・調理員の働きにもっと光を当てたいと思っています。幼児給食という大切な部分を担っているので、皆さんとても勉強熱心で優秀な方々なのです。さらにモチベーションを高める機会があれば、よりレベルアップできるのではないかと。
保育士等と違って、昇進やキャリアアップの仕組みがありません。また仕事場は調理室なので仕事する姿は子供たちや保護者にも見えないし、直接触れ合うも機会もあまりありません。コンテストという分かりやすい形にすることで、成果をあげれば保護者・地域にもアピールできます。

Q:コンテストを通じて幼児の食育への貢献についての考えは?

貞松:幼・保育園への保護者の関心・要望のアンケートをとれば、トップ5に「食育」は必ず入ります。「体育」「知育」に並ぶ高い関心事で、しかも多くの保護者にとって我が子が初めて経験するわけで、その点では小・中学校より保護者の関心は高いでしょう。ご家庭でも給食のレシピを参考に、野菜嫌いのお子さんのために料理をしているという声も寄せられています。コンテストの成果がご家庭の食育に広められることが、目的の一つです。

丸山:弊社は「食べることの喜び」と価値を伝えることを目的にフードサービス事業を行っており、ただ食べるだけでなく、食材の収穫した場所や時期に応じた食べ方等を大切にしています。
幼・保育園の給食はお子さんにとって初めての食。これから味覚が発達する大切な時期に出会う食ですから、保護者には食事を大切にして頂きたい。コンテストを通してそのような情報を保護者にも表現できる、絶好のアピールの場ではないでしょうか。

Q:コンテストへの期待はいかがでしょうか?

貞松:東京都からコンテストの後援を頂いたこともあって、いくつかの都内の自治体に説明の訪問しているところです。それ以外の幼稚園、保育園関係団体からも含めて皆さん、趣旨に関心と期待は高く、手応えは強く感じています。
幼児給食における栄養士・調理師のキャリアアップの唯一のチャンスです。どうか、日本一を目指してチャレンジしてください。