栄養士コラム

第116回「栄養教諭の挑戦は続く」

茨木仁美

愛媛県西条市立大町小学校 栄養教諭

茨木仁美

「人間のライフスタイルは10歳で決まり、大抵の人はそのまま使い続ける」~哲学者:アドラー
栄養士として初めての勤務は「老人ホーム」でした。様々な条件をかかえる高齢者の方々と接して“健康”について真に考える機会を与えられたことが、学校の栄養士になるきっかけとなりました。

 

原点は“挑戦”

初任地は、食数が100食ほどの小さな島の共同調理場でした。前任者がいない職場のため、仕事の引継ぎもなく何もかも一からの出発でした。離島の子供たちに「いろいろな食べ物や味を知ってほしい。」という思いから、当時は珍しかった「ヤーコンの天ぷら」「牛乳みそ汁」など新しい献立を積極的に取り入れました。子供たちからは、「給食の時間、どんなものが出てくるのかいつもドキドキする」「うちの学校の給食はチャレンジ給食や」と言われていたことを今でも覚えています。

西条市栄養教員部会の“挑戦“

市内栄養教員部会では、栄養教諭未配置校で行う『食育出前授業』、地元産食材にこだわった『収穫体験と親子料理教室』など、食育活動を市内全体に広げて取り組んでいます。
また日本の味「みそ汁」に着目し、家庭での調理体験の推進を目的とした『チャレンジtheみそしる』を小・中学生の夏休みの課題にしています。課題の中から特色あるみそ汁を選び『みそしるカレンダー』を作成して、各学校や関係機関へ配布し、啓発活動にも努めています。
市内栄養教員の連携を強めたことで、地域、家庭を巻き込んだ食育活動を展開できるようになりました。

チーム学校で取り組む食育

本校では、麹から作る「みそ作り」を行っています。地元産の米・麦・大豆で作ったみそは、家庭科実習、親子活動、給食、文化祭の試食で活用し、味覚を通して手作りみその良さを児童に伝えています。今年の給食総選挙の「汁もの部門」において、初めて「みそ汁」が第1位になり、日頃の活動が児童に伝わっていると感じ、嬉しく思いました。
また、学級担任に行ったアンケートでは「クラスによって給食指導が違うのでやりにくい」という意見が多かったため、食育における『目指す児童像』を明確にすることにしました。給食主任と相談の上、食事マナーを給食指導の柱にすることを決めて、教職員と意識統一を図り、計画的、継続的な指導を行っています。
次代を担う児童の望ましい食習慣の形成のため、楽しい給食、つながる食育を目指し、今後も日々仲間とともに挑戦し続けていきたいと思います。