栄養士コラム

第123回「多くを学んだ4か月」

熊野由佳子

京都府宇治田原町立学校給食共同調理場 栄養教諭

山西奈津子

6月に給食が再開して数日が経った、鯖のみそ煮の献立の日のことです。特別支援学級のA君が「先生、給食ってこんなにおいしかったんやな~」としみじみ語ってくれました。また、児童の様子を見に教室を訪れると、嬉しそうに「おいしいよ」と言ってくれる子もいます。

「おいしい」に含まれる様々な感情

子どもたちが発する「おいしい」という言葉の中には、学校が始まった喜び、頭と体を十分に動かすことができるようになった充実感、クラスメイトと一緒に食べられるようになった楽しさなど、味への満足感以上のものがふくまれているように感じます。 3か月間の休業の後、新しい生活様式で給食が始まり1ヶ月が経ちました。大人も子どもも、今までの当たり前が通用しない事態に直面し続けています。栄養教諭として私は休業になるたび、食材のキャンセル、献立の作り直し、給食費の算段に追われました。6月の給食の再開にあたっては、栄養価、配膳のしやすさ、食べやすさに配慮し、子どもたちにとって楽しみとなる献立作成に苦心しました。

喜びはやがて方向性の迷いに

再開して1ヶ月が経ち、再開当初はうれしかった「おいしい」という子どもたちの声が、次第に「今後も食べやすさを第一に考えた献立のほうが良いのではないか?」「これまでの献立方針は、自分だけのこだわりや思い込みの押しつけではないか?」という自分への問いかけに変わってきました。
献立作成の指針となるのは、学校給食法で規定されている学校給食実施基準や文部科学省から発行されている『栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育』に記されている栄養管理について。自分の献立方針に迷いを感じた私は、初心に戻ってこれらを読み直しました。そして「献立は知識と経験にもとづいて立てるもの」と確認したのです。

柔軟さとブレない軸と

新しい生活様式に慣れるまでの間は、品数を減らし、児童生徒の嗜好に重点をおいた給食を提供するという考え方は正解だと思います。しかし新しい生活様式が普通になれば、食に関する指導に活用でき、将来自立した時の参考となるような献立にもどる必要があります。それが、給食に期待される役割だと再確認しました。
このように、臨機に対応する柔軟さと、栄養教諭としてブレない軸を持つことの大切さを学んだ4か月でした。

過去のコラムを読む