栄養士コラム

第135回「前向きで黙食の今こそ食育推進のチャンス」

仲野康子

徳島県徳島市助任小学校 栄養教諭

仲野康子

COVID-19感染拡大の影響を受け、給食時間の過ごし方が変わりました。本校では「毎日の給食」を紹介する動画を作成し、給食時間の食に関する指導に活用したところ好評です。

給食時間の過ごし方が変わった

これまで給食時間は学級を訪問し、偏食や咀嚼の個別支援をしてきました。しかし、新しい生活様式への対応が求められるようになり、本校でも安全・安心な給食時間の過ごし方について検討され、新しいルールができました。私は楽しい給食時間になるよう、毎月動画を2本作成するという目標をたてました。給食ができるまでの様子や給食時間の過ごし方など、作成した動画は好評でしたが、繰り返し見ると飽きてしまいます。そこで思い切って「毎日の給食」を紹介する動画を作成することにしました。
まずは一週間分を作成し、先生方に視聴が可能かどうか、またその感想について教えてもらうことにしました。すると活用した担任から「児童が自主的に給食の準備や片付けをするようになり、給食指導が楽になった」「食育クイズに興味津々」「給食の予習として見せても楽しい」との意見が口コミで広がり、ほぼ全てのクラスで活用されるようになりました。

子どもたちの健康に対する興味関心は高まっている

COVID-19感染拡大防止対策のため「給食は、前を向き無言で食べる」ようになり、本校では残食が減りました。令和2年度に行った学校生活アンケートの結果でも「好き嫌いしないで食べる」「毎日朝ご飯を食べている」といった食生活に関する項目の数字が前年よりも良くなっており、児童らの健康に関する興味関心が高まっていることが推察されました。

コロナ禍でも、給食時間の指導を効果的に行う

動画は6~9枚のスライドを自動切り替え設定にし、作成しています。
① 給食当番の服装・健康チェック
② 配膳(配膳表から切り抜き、主食・主菜・副菜(汁物)・牛乳を追記)
③ 食事のマナー一週間(曜日ごとに守るべきマナーを決め、定着化を図る)
④ 今日の献立の一口メモ(給食放送内容)
⑤ ・ ⑥ 食育クイズと答え(教科と関連した内容、健康・スポーツ栄養などの内容)
⑦ ~ ⑨ 後片付けの注意事項など
これらの情報を文字や絵・写真などにする手間はかかりますが、繰り返し使えるスライドもあり、効果的に多くの情報を大勢に提供できるようになりました。前を向いて無言で食べている今が、食育推進のチャンスなのかもしれません。