栄養士コラム

第160回「子ども達の自慢にしてほしい『ご当地給食メニュー』」

石井直子

佐賀県唐津市立外町小学校 栄養教諭

石井直子

給食時間のクラスの巡回指導中に、苦手なおかずを減らしてもらおうと食缶を前にした担任の先生のところに並んでいる児童を見かけることがあります。 そのような時、「食べてみたらおいしいかも。減らすと後悔しますよ」と声をかけるようにしています。 給食時間が終わり、昼休みの職員室でそのクラスの担任の先生から、 「○○さん、結局減らさないで食べることができましたよ。食べてみたらおいしかったそうですよ」と教えていただいた時は、心の中で「やった!」と叫んでいます。

保護者からのレシピの問い合わせ

本校では、生産者さんとの納入ルートが整備されており、地場産物利用割合も高く、地場産物を活用した食育を行っております。 また、地場産物や児童生徒が苦手な食材をおいしいと思って食べてもらえるように給食で提供することを心がけてまいりました。 提供した給食をおいしく食べてくれることでさらに、児童の五感と共にその食材が印象に残り、家庭へのアピールにもつながるのではと思っております。 うれしいことに本校では保護者の方からよくレシピについての問い合わせがあります。給食は教材であると共においしいことも必須であると思っております。

水産物が地産地消で給食に

唐津市は米、野菜、果物の生産や畜産が盛んです。また玄海灘に面しており、地元で水揚げされた魚を学校給食で提供することができています。 唐津地区栄養教諭・学校栄養職員部会では、10年以上前から唐津玄海地区水産物消費拡大協議会の協賛で地元の業者さんの協力を得て「お魚教室」を開催しております。 その際、児童生徒に「唐津の給食は佐賀県内でも特に自慢できることがあります。 それは、地元で水揚げされた魚を給食で食べることができることです」と伝えるのですが、児童生徒はいつもとても驚いた様子です。 佐賀県自体、米、野菜、果物の生産や畜産が盛んですが、まだ他の地域に出たことのない児童生徒にとって、給食でお魚が地産地消できることが特別なことだということは、驚きなのかもしれません。

考案したお魚レシピが好評

お魚の産地ではありますが、一般的にお魚が苦手な児童生徒も多く、「お魚教室」では、お魚のつくりや栄養、地元の産業について知らせ、お魚を好きになって、より多く食べてもらうことを目標としています。 また、児童生徒が食べやすいお魚レシピで考案した「鯵の干物の唐揚げ」や「サバカツ」はとても好評です。 唐津の子ども達が唐津を巣立っていった時に、地場産物を使った給食を思い出して「ご当地給食メニュー」として自慢してくれることを期待しています。