栄養士コラム

第162回「子どもたちの心に残る食育を!」

津軽智子

新潟県長岡市立新町小学校 栄養教諭

津軽智子

新潟県は県面積が全国5位、上越・中越・下越に分かれたとても広くて長い県です。「米どころ新潟」と言われるだけあり、お米を中心とした美味しい食材や料理が豊富で、各地域の特産物や料理に特徴があります。そのため学校でも、各地の様々な特色ある「地場もん給食」が提供されています。今年度、新潟県の「米飯給食、地場産給食推進月間」との連携事業として『キラッと新潟米☆地場もん献立』が計画され、11月に全県で実施されることになっています。

キラッと新潟米☆地場もん献立

事業のねらいは「全県一斉に新潟県のおいしいごはんや地場産物PRの取組を実施し、子どもたちに自分たちの住んでいる地域の良さを再認識させる機会とする。また、住んでいる地域の食文化や受け継いで欲しい郷土料理等についても伝えていく機会とし、『食』を通して郷土愛を育むこと」です。このねらいを基に、長岡市立学校では「市内共通献立」を作り、市内の小中学校一斉に実施します。 長岡市の伝統的な食材である「車麩」「栃尾のジャンボ油揚げ」「かぐら南蛮みそ」を使用して、子どもたちに人気の料理で献立を作り、共通の資料でPRをします。「生きた教材」としての学校給食の良さを存分に発揮できる機会です。

共有することの良さ

他にも、市内共通で行う献立がいくつかあります。「減塩うまみランチ」を月に1回、「給食週間献立(テーマは毎年検討)」を年1回1週間分、「特別テーマ(姉妹都市ハワイ献立・発酵ウィーク献立など)」で長岡市のイベントとのコラボ給食などがあります。 長岡市は昔から各学校に応じた個別献立を行っており、学校の実態に寄り添った自校給食を行うことができる良さがありますが、給食予算面や調理施設の維持を考慮して共同調理場化も進められています。 共通献立を定期的に行い、資料や掲示物を作り、校内放送等で周知することにより、地元で受け継がれてきた特産物や郷土料理を知らせると共に、給食での献立の工夫も伝えることで、家庭でも取り入れたり話題にしたりできるメリットがあります。各校で共通の資料を共有することで仕事の効率化にも繋がります。良いものを、より効果的にPRできる方法です。

より効果的に子どもたちに“食”を伝えたい

食べることは健康だけでなく、心の豊かさにも大きく関わっています。子どもたちが豊かな心で健康な食生活を送っていけるようにサポートしていくことが栄養教諭の役割でもあります。より心に残る教材づくりと、PR方法を学んでいき、子どもたちの未来の食生活に活かしていけるような食育を、これからも考えて伝えていきたいです。